ソマリア 

 世界196カ国の中で、未だ危険で訪問してはならない国と言うのがある。外務省は特にそれらを指定している。例えば、シリア、イラク、ソマリア、アフガニスタン、イエメンそしてアフリカの病原菌発祥の国々等である。

 殆どが内戦や戦争状態の国家である。しかし、それぞれの国の領土は広いので、何とか安全地帯を見つけて行ってみたいという困り者がいるのも事実。自称、戦場カメラマンなのである。

 今回、ソマリアの西部にある自治国家「ソマリランド」が対象国。殆どソマリアからは独立状態で安全と言われるが、同様の自治国家「プントランド」は隣国で海賊国家ともいわれている。危険地域には違いない。 さて、さて、さて・・・

      海賊国家として恐れられるソマリア    ソマリアは内戦後、3自治国家に分かれている

   〇 ソマリアを一言で表現すると・・・

         海賊船 アデン湾インド洋ソマリア周辺海域で発生し国際海運の障害となっている海賊

     ソマリア海賊の背景

 海賊たちはもともと漁業に従事していた漁民であった者が多い。
欧州や日本がソマリアの漁船や漁港の整備に対して援助を行っていた時もある。

 マグロなどソマリア船の漁獲のほとんどは、魚を食べる習慣の少ないソマリア国内ではなく海外への輸出へと回し、外貨獲得の手段としていたが、1991年内戦と、機能しない暫定政府(無政府状態)が要因で魚の輸出が困難となった。

 ソマリア近海に外国船、特に欧州の船団が侵入して魚の乱獲を行ったため、漁民の生活は一層困窮した。

 軍部と欧米の企業が結んだ、産業廃棄物の投棄を認める協定が出来た。だがそこには処理が難しい放射性物質が多量に含まれていたため、漁師を中心とする地域住民数万人が発病。地域住民の生活を支えていた漁業もできなくなった。この結果、困窮した漁民がやむなく自ら武装して漁場を防衛するようになり、一部が海賊に走ってそれが拡大したものとする分析がある。

 海賊は、2008年時点では人質にパスタや肉などの食事を与え一応生命を保証しており、たばこや酒などの嗜好品も与えている。2008年4月にフランス軍が制圧した海賊のヨットからは人質に対する虐待や強姦を禁じる「規則書」が発見されている。

 海賊らは身代金で豪邸を建て、その暮らしぶりは現地の憧れとなっている。

  エチオピア航空。成田~香港~アジスアベベ~ハルゲイサ               ハルゲイサ空港

  

     ホテルはそれなりに     車は95%が日本車の中古       舗装は未だほとんどない

砂漠が多いだけにラクダに肉が出てくる。意外に美味しい          サラダも新鮮

     ロブスター、海が近いので魚は豊富              果物 

      チャーハンもどき          魚のから揚げ  猫達がテーブルの下で首を長くして待っている

 ソマリアの全人口1,000万人の内、1/3が人道支援を必要としている    リッチな国民もいるが、貧しい人が目につくソマリア

ソマリランド共和国

  1960年  英領ソマリランドが、ソマリラ ンドとして独立
  
1960年  イタリア信託統治領ソマリアがソマリア 共和国として独立。ソマリランドはこれと合併して消滅             991年  旧ソマリランドが、ソマリアから脱退
 
1991年  ソマリランド共和国が独立を宣言

 事実上は独立国家として機能しているが、現在のところ国際的にはソマリアの一部であると見なされており、
 国家として
承認されていない。 

 首都:ハルゲイサ
 
人口:400万人

 現地住民の中でもソマリランドとソマリアは全く別の国であるという認識が強いようで、ソマリアと比べて治安も格段に安定しているソマリランドに誇りを持っている住民が多いという。

 独立国家と承認されないのは、ほとんどのアフリカ諸国が抱えている自国内の民族独立運動への先例を与えかねない恐れがあるからである。同様のケースにエチオピアから独立したエリトリアスーダンから独立した南スーダンのケースがある。

          荷役や食用のラクダ          主要産業のラクダ

            アデン湾         細々と漁業をする人もまだいる

     この地域ソマリランドには海賊はいない、東のプントランドがその地域

地理

 ソマリランドはアフリカの角と言われるソマリアの北西部にある。西にジブチ、南にエチオピア、東にプントランドと接する。北のアデン湾に沿って740kmの海岸線を有する。気候は乾燥と湿潤が混ざっている。良港を持つベルベラは世界でも最も暑いところで47.7Cを記録した。北東の町エリガボでは最低気温マイナス3.3度になった。

経済

 ソマリアと比べ政治の安定性はあり、経済も機能しているが、国際的には最貧国の1つとされる。
 通貨ソマリランド・シリングは、1アメリカ合衆国ドルにつき4500ソマリランド・シリング。

 主要産業は畜産業(特に荷役や食用のラクダ)など第1次産業がほとんどだが、良港ベルベラを抱えることもあり、海上交通の要衝としても注目される。また、このベルベラ港はエチオピアの輸出・輸入港としても機能している。

 天然資源としては石油・天然ガス・鉛・石灰・金などの埋蔵が確認されているが、本格的な採掘はされていない。さらに、独立が承認されていないことからアフリカ連合などの国際機関からの資金援助を受けることができない状態である。

 現地を走る車の99%は日本車である。

言語

 大多数の国民は2つの公用語である、ソマリ語かアラビア語を話す。また英語も学校で話され、教育されている。

 宗教

 ほぼ全ての国民がイスラム教スンナ派であり、イスラム教は国教となっている。

主要幹線。走行する日本車の車体は「〇〇幼稚園」等、そのままで利用            内戦の爪痕が残る

          町の中心部には、ソマリア政府軍の爆撃機を記念

      ☆岩絵

              岩絵         紀元前5千年頃の動物壁画は最大の観光

                     動物壁画を説明する現地ガイド

            町の最大マーケット   マーケットにある両替屋は露天! 現金が信用されていない

 ソマリランドでは現金があまり信用されておらず、キャッシュカードやATMが普及していないためキャッシュレス化が進んでおり、モバイルバンキング(インターネットを介した銀行(類)の取引サービスのことである)が盛んであるという。

 このため、外国からソマリランドに米ドルを送金した場合、ソマリランドの人々は世界各地の代理店および支店を通じて入金されてから5分以内に米ドルを引き出すことができる。

 その国の通貨が信用されないということは、失敗国家と言われている。

 失敗国家とは・・・

 主権国家体制国内で適切に機能せず、内戦政治腐敗等の理由で国民に適切な公共サービスを提供できない国家のことである

 2017年度のランキングでは、
 1位 南スーダン
 2位 ソマリア
 3位 アフガニスタン

 以下、イラク、パキスタン、北朝鮮、ロシア・・・と続く。

 逆に最も安定した国とされているのは7年連続フィンランドである。

                                                          2018年4月作成

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